浅草名画座 番組解説 2006年3月号
第1週 : 3月8日〜14日
『緋牡丹博徒』1968年 東映 98分
(出演)藤純子, 高倉健, 若山富三郎 (監督)山下耕作
おんなの幸せ自ら捨てた、やくざ渡世の花一輪、純子魅せますドスの舞 !
父を闇討ちした怨敵を捜し求め、賭場から賭場へと流れて歩くお竜さんが、免許皆伝の必殺小太刀で悪を斬る、ご存知緋牡丹シリーズの記念すべき第1弾 !
早とちり富三郎のコメディリリーフも光る、大満足の痛快娯楽巨篇 !
『ダイナマイトどんどん』 1978年 大映 142分
(出演)菅原文太, 北大路欣也, 宮下順子 (監督))岡本喜八
ホイ来た、傑作です。
北九州で抗争を繰り返すヤクザ同士が、戦後民主主義を尊重し野球勝負でカタつける、前代未聞の痛快任侠喜劇 !
暴力プレーは当たり前、エンコ詰めして魔球も投げる、チアガールは芸妓&ストリッパー軍団だ !
とにかく何が飛び出すか分からない、岡本印の爆笑大活劇 !
『影狩り』 1972年 東宝 90分
(出演)石原裕次郎, 成田三樹夫, 丹波哲郎 (監督))舛田利雄
弱小藩取り潰しを画策する幕府の陰謀に、三匹の浪人たちが戦いを挑む豪快アクション時代劇 !
公儀隠密・影を次々と葬り去ってゆくのは、裕次郎・成田・内田良平の濃厚剣客トリオ。 いずれ劣らぬクセ者どもが、劇画顔負けの個性派剣法で暴れまくるシ リーズ第1弾 !
音楽担当・石原裕次郎って…。
第2週 : 3月15日〜21日
『新仁義なき戦い / 組長最後の日』 1976年 東映 91分
(出演)菅原文太, 成田三樹夫, 松原智恵子 (監督)深作欣二
関西巨大組織の九州進攻作戦と、抵抗する地元弱小組織の激しい攻防を描く、東映ドル箱シリーズとりあえずの最終章。
復讐鬼・文太がマトにかけるは只ひと つ、首領の首 ! たとえ今わの際の老いぼれだろと、この手で殺らねばカッコがつかぬ!
菅原文太強化月間の3月をド派手に彩る、激烈バイオレンス巨篇 !
『男の代紋』 1972年 東映 91分
(出演)高橋英樹, 三ツ矢歌子, 島田正吾 (監督)山下耕作
調布の桃太郎・高橋英樹が、王者東映の本格任侠映画に初挑戦 ! 信州木曽路を舞台に、殺られたダチの妻子を守るため、悪に立ち向かう英樹の男気を描く豪快巨篇 !
天津敏&遠藤辰雄の極悪ツープラトン攻撃をいかに切り抜けるのか、まずはお手並み拝見。
監督は将軍・山下耕作。これには英樹もカンゲキだ !
『黒の斜面』 1971年 松竹 93分
(出演)加藤剛, 岩下志麻, 市原悦子 (監督)貞永方久
出張をひと晩延ばした男が愛人宅で目にしたものは、自分が乗っていた筈の飛行機の墜落事故を告げる臨時ニュース。隣には愛人、傍らには会社の金三千万円 !
些細な事から転落の道をひた走る、エリート男の破滅を描く衝撃のサスペンスドラマ !
蜂蜜饅頭喰う手も思わず止まる、戦慄のラストに震撼せよ !
第3週 : 3月22日〜28日
『男はつらいよ / 葛飾立志篇』 1975年 松竹 97分
(出演)渥美清, 樫木文枝, 小林桂樹 (監督)山田洋次
立志篇と銘打った今作は何と「寅次郎学問のすゝめ」の巻。
インテリ才女に惚れた寅さんが、無謀にも勉学デビュー ! さくら達の心配をよそに、まずはメガネを買う事からスタート ! イロノーゼのお偉い学者先生もまんまと脱帽の、大入り爆笑シリーズ第16作 !
味わい深いオチがつく「隠し子事件」には、じんわりヤラレます。
『花と嵐とギャング』 1961年 東映 83分
(出演)高倉健, 鶴田浩二, 清川虹子 (監督)石井輝男
吃音もお茶目なちょいバカやくざ・スマイリー健が、縦横無尽の大活躍をみせる、ニュー東映自慢の痛快アクション !
母・清川、長男・鶴田、娘婿・健サンと云う面白すぎるアウトロー家族が、ライバルギャング相手に繰り広げる激しい現ナマ争奪戦 !
垢抜けセンスで健サンの魅力を開花させた、石井輝男の東映初監督作 !
『太陽を盗んだ男』 1979年 東宝 147分
(出演)菅原文太, 沢田研二, 西田敏行 (監督)長谷川和彦
とても桃サンと同一人物とは思えない超硬派・文太が、コワモテ全開でシブ~く決める、異端の娯楽巨篇 !
不死身の凄腕デカ・文太と、手製の原爆で気まぐれな脅迫を繰り返す謎の男"9番"の、手に汗握る決死の攻防戦 !
浅名アニキがローリング・ストーンズ来日を記念して贈る、伝説のアクション超大作 !
第4週 : 3月29日〜4月4日
『日本の首領 / 完結篇』 1978年 東映 131分
(出演)佐分利信, 菅原文太, 三船敏郎 (監督)中島貞夫
関東同盟×中島組×右翼の三つ巴の抗争も遂にクライマックス ! 最後に首領の座を手にするのは誰なのか ?
本作より右翼の大物役が内田朝雄から千恵蔵御大にバトンタッチ。役者が揃ったところでいよいよ最終決戦も盛り上がる !
車イスの武闘派・文太兄ィが壮絶な死に様を見せつける、大型極道シリーズ完結篇 !
『新網走番外地』 1968年 東映 94分
(出演)高倉健, 松尾嘉代, 金子信雄 (監督)マキノ雅弘
生まれ故郷にはびこる悪を、もはや許しちゃおけねえと、皮ジャン羽織った健サンが、ひとり逝きます殴り込み !
闇市に群がる悪党どもに、健サンの必殺高倉キックが豪快に炸裂 ! マキノ監督を迎え、任侠大作として甦った新シリーズ第1弾 !
殴り合うも友情、同じ女に惚れるも友情。今回のテーマは「男の友情」だ !
『喜劇・競馬必勝法』 1967年 東映 91分
(出演)谷啓, 山城新伍, 進藤英太郎 (監督)瀬川昌治
競馬狂のヒラ社員と、その教えを乞うビギナー社長との愉快な関係を描く、"釣りバカ"の原形とも云える傑作人情喜劇 !
社長のまぐれ大穴馬券をパーにしてしまったヒラ社員が、己の博才すべてを賭けて起死回生の大勝負に挑む、笑いと涙のギャンブル巨篇 !
外出券を握りしめ、この週末もがんばろう !
【日本悪人伝】
『吉田義夫』
主に東映時代劇の悪役として名を馳せた人物ではありますが、浅名のお客人にとって最も馴染み深いのは、寅さんの夢に毎回のごとく登場し、善良なさくら達を 苦しめる極悪人の役なのではないでしょうか。
ギャング、奴隷商人、高利貸し、そして今回上映の「葛飾立志篇」では西部の無法者…。
タコや源公を手下に従 えて、とても松竹映画とは思えない非道な振る舞いを繰り返し、最後は正義の味方・寅次郎にコテンパンに退治されてメデタシメデタシ。
しかしそんな極悪人 も、普段は旅芝居一座の座長役としてセミレギュラー出演していて、夢のシーンとはまるで別人の味わい深い名演を見せてくれます。
一見すると好々爺。しかし よく見りゃ眼光鋭く、やはりカタギではない。
昭和61年没。