浅草名画座 番組解説 2006年10月号

第1週 : 10月4日〜10日

男はつらいよ / 純情篇』1971年 松竹 90分 CS

(出演)渥美清, 若尾文子, 森繁久彌, 宮本信子 (監督)山田洋次
旅先で行きずりの母子を親元へ送り届け、里心がついた寅さんが、矢も盾もたまらず柴又へ直行 !  下宿人の人妻にメロメロとなり、またもやいつもの爆笑騒ぎを巻き起こす !

「故郷とは何か」をテーマに、笑いと涙の波状攻撃で贈る至福のシリーズ第6作 !

タコ号泣の博独立計画が発覚 !  今回も女中は谷よしの !

 

『海峡』 1982年 東宝 142分 VV

(出演)高倉健, 吉永小百合, 森繁久彌, 大谷直子 (監督))森谷司郎
国鉄魂胸に抱き、津軽海峡血に染めて、ひたすら掘って掘りまくる、インテリ健チャン三十年の大仕事 !

青函トンネルの完成に命をかけた男たちの生き様を、大自然との壮絶な戦いの中描く感動大河巨篇 !

黒部の太陽」も真っ青の壮大なスケールは観る者をどこまでも圧倒 !  思う存分泣くがいい !

 

『893愚連隊』 1966年 東映 88分 CS

(出演)松方弘樹, 天知茂, 待田京介, 荒木一郎 (監督))中島貞夫
ケチな浮世を這いずり回り、ネチョネチョ生きるチンピラどもの、出たとこ勝負の大バクチ !

ヤクザ野郎の顔色伺いながらセコ~く生きる愚連隊が、大金パクッて一世一代の勝負に打って出る、Born To Loseな痛快アクション !

怒れる監督・中島貞夫のチョッピリ青い思い入れが爆発した、哀しみの負け犬賛歌 !

 

第2週 : 10月11日〜17日

『やくざの墓場 / くちなしの花』 1976年 東映 99分 CS

(出演)渡哲也, 梅宮辰夫, 成田三樹夫, 梶芽衣子 (監督)深作欣二
大島渚本部長以下、成田三樹夫、金子信雄、川谷拓三、室田日出男らが所属する恐怖の警察・大阪府警。

その中で更にハミ出した無頼デカ・渡哲也と暴力団幹部・梅宮の、民族と職業 の壁を越えた兄弟仁義を熱く描く壮絶バイオレンス巨篇 !

「仁義の墓場」でドン引きになった貴殿も、今度はきっと大丈夫 !

無謀にも芸術祭参加作品だ !

 

『人生劇場 / 続・飛車角』 1963年 東映 96分 CS

(出演)鶴田浩二, 月形龍之介, 佐久間良子 (監督)沢島忠
四年のお務め無事終えて、シャバへ戻った飛車角が、行方知れずのおとよを追って、騒乱止まぬ満州へ…!

軍閥・政商がハバをきかす暗黒の時代に、男気炸裂でただ独りファシズムに立ち向かう、鶴田・飛車角波乱の人生最終章 !

闇夜にチャカ抱く怪しいアイツ、潮健児に御用心 !

 

『女必殺五段拳』 1976年 東映 77分 CS

(出演)志穂美悦子, 渡瀬恒彦, 片桐竜次, 汐路章 (監督)小沢茂弘
老舗呉服店のオテンバ箱入り娘・悦ちゃんは、何を隠そう空手の達人だったのです !

薄幸の混血兄妹を守るため、麻薬Gメン渡瀬と共に悪の巣窟・東映京都撮影所(本物)に潜入し、決死のコスプレ大作戦を展開する、ツッコミどころ満載の女必殺拳シリーズ 第4弾 !

最強アイドル・五段飛び悦ちゃんのキュートな魅力が炸裂だ !

 

第3週 : 10月18日〜24日

『山口組三代目』 1973年 東映 102分 CS

(出演)高倉健, 菅原文太, 丹波哲郎, 嵐寛寿郎 (監督)山下耕作
出たァ~ッ !

実録ヤクザ映画究極の最終兵器、その名もズバリ山口組三代目 !

昭和初期の神戸を舞台に、渡世修行の道を邁進する田岡青年の激動人生を描く衝撃の第1弾 !

将軍・山下耕作が任侠ロマンと壮絶アクションの二刀流で魅せる、ひと粒で二度おいしい、至れり尽くせりの全天候型やくざ映画 !

 

極道の妻たち / 危険な賭け』 1996年 東映 114分 VV

(出演)岩下志麻, かたせ梨乃, 原田龍二, 中尾彬 (監督)中島貞夫
極妻版「北陸代理戦争」とでも申しましょうか、今回は女組長・志麻が、裏社会の頂点目指し、ナイスな策士っぷりを遺憾なく発揮します。

日本最大組織の四代 目の座を手中にすべく、北陸の女帝・志麻がライバル組長たちを次々蹴散らす完成度抜群の人気シリーズ第9弾 !

キムタクの嫁も熱演&熱唱だ !

 

紅薔薇夫人』 2006年 新東宝 70分 VV

(出演)坂上香織, 大沢樹生, 永瀬光, 清水昭博 (監督)藤原健一
元アイドルの坂上香織嬢が、されるがままに縛られて、あんな事こんな事…

終戦直後の混迷の時代を舞台に、没落した資産家の若妻とヤクザ男の倒錯した愛欲世界をねっちょり描く、激濡れSMハードロマン !

禁断の鬼六エロスが男の煩悩をピンポイントで直撃する、お勃ち見覚悟の大ヒット官能巨篇 !

 

第4週 : 10月25日〜31日

『三代目襲名』 1974年 東映 96分 CS

(出演)高倉健, 安藤昇, 渡瀬恒彦, 田中邦衛 (監督)小沢茂弘
間髪入れずに今週も行くぜ、山口組三代目シリーズ第2弾 !

戦中・戦後の混乱期を舞台に、いよいよ三代目を襲名した健サンが怒涛の快進撃で全国に男気を啓蒙する問答無用のアクション巨篇 !

実在のメジャー極道がじゃんじゃん実名で登場し、画面狭しと大暴れ !  これじゃあ製作中止も納得だ !

 

『柳生武芸帳』 1957年 東映 109分 SD

(出演)三船敏郎, 鶴田浩二, 香川京子, 岡田茉莉子 (監督)稲垣浩
中身は何だかよく分からんが、天下をひっくり返す程のスゴイ事が書かれているらしい巻物・柳生武芸帳。

その柳生武芸長を巡って忍者に剣豪入り乱れ、手段を 選ばぬ激しい争奪戦を繰り広げる痛快アクション時代劇第1弾 !

鶴田と三船が実の兄弟 ?  三船が女にからきし弱い? 何だ何だSFか !?

 

『黒の奔流』 1972年 松竹 90分 CS

(出演)山崎努, 岡田茉莉子, 松坂慶子, 岡本茉利 (監督)渡辺祐
野望に燃える弁護士・山崎努が、不利な裁判勝利で飾り、ブルジョワ女をゲットして、出世街道まっしぐら !

そうはさせじと被告人・茉莉子が、屈折した愛のパワーで努をトコトン追い詰める驚愕の清張サスペンス !

ドロッドロの濃い~展開に疲労困ぱい間違いなし !  終映後はポカリの自販機に直行だ !

 

【今月のチョイ押し】

『女必殺五段拳』

10月12日は小沢茂弘監督の命日にあたります。

今回はそれに合わせて小沢監督最後の映画作品となった「女必殺五段拳」をラインナップに入れてみました。

最後の作品といってもこれは1976年の作品で、監督が亡くなったのが2004年なので、実に28年もの間映画を撮れないまま逝ってしまった事になります。

全 盛期の小沢監督は、あの三池崇史がヒマ人に思えるくらい大量の映画を撮りまくり、"日本一忙しい監督"の称号をほしいままにしていましたが、東映退社後は 不運続きで作品を撮る事が出来ず、易者や山伏をやりながら晩年を過ごしました。

本作品は(東映限定の)和製カンフーブームの頃に制作されたシロモノで、千 葉ちゃん映画に勝るとも劣らぬバカバカしさは正にグレイト ! の一語に尽きますが、東映京都撮影所が麻薬組織だったというヤケクソな設定などは、最後っ屁みたいでチョッピリ痛快ですね。

 

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