読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

サーカムシジョン・ブルース

なんの因果か、
なんの報いか、
呪われてるのか、
何かの祟りか、
身から出ましたサビゆえなのか……。

えー、この度の年末年始に、ワタクシ「6日間飲まず食わず」という、なんと申しますかこの、あまり有難くない貴重な体験をいたしましてですね、船で漂流したわけでもないのに6日間飲まず食わず。雪山で遭難したわけでもないのに6日間飲まず食わず。
…って、何なんですか、これは?
俺がいったい何をしたっつうんですかね?
冗談じゃねえよ全く。
憤りを感じるよ。
神も仏もありゃしないよ。
今日まで真面目に生きてきたっつうのにいぃぃぃぃぃぃぃっ!
ってな具合にですね、まあ泣きも入るわけですよ、実際。


三度三度のメシが食えないというのはどういう事かと言うとですね、時間の感覚が狂うというか、メリハリがつかないというか、とにかくやたらと一日が長く感じてしまうのです。
やることもないしヒマだし仕方ねえってテレビでもつけようもんなら、否応なしに目に飛び込んでくるのは食いもん、食いもん、食いもん、食いもん……。
うぐー。


まあ正月だからってのもあるんでしょうが、やたらとタレントやらグルメリポーターやらが美味そうな料理を喰らいまくる拷問のような番組だらけで、畜生、馬鹿馬鹿馬鹿!ってチャンネルをほかの番組に替えますと、今度はCMでピザ、ハンバーガー、カレー、サッポロ一番みそらーめん、食いもん、食いもん、食いもん、食いもん……。
うぐー。


まあ普段はあまり意識してなかったのですが、テレビってやつは矢鱈目鱈食いもんの情報で溢れかえっていて、食うに食えない身といたしましては腹立たしいことこの上ない。
特にCMに出てくる食いもんの美味そうなことといったら、これはもう殺意すら覚えるほどでして、けっ!あんなファーストフードなんてもんはよ、どうせバイトの兄ちゃんが鼻クソほじくった手で作ってやがんだろ、チンコ触った手で作ってやがんだろ。んなモン頼まれたって食いたかねえやバ~カ!
なんて、テレビに向ってムダに毒づいてしまうほどでしたよ、まったく。

そんな俺の惨状を見かね、自らその苦しみを分かち合おうと立ち上がった一人の勇気ある青年がおりまして、プライバシー保護の観点から仮に「T岡T雄くん」と表記しておきますが、そのT岡くんがですね、
「恩ある川原先生ひとりに辛い思いをさせるのは忍びない。ここはひとつ、ボクも辛い体験に身を投じ、その苦しみを分かち合いたい」
などと、泣かせることを言ってくれたのです。


このT岡くんという好青年は、心根の優しいとても良い人間なのですが、頭は金魚よりもバカという致命的な欠点を持っていまして、そんな消しゴムよりも小さい脳みそでいったいどんな「辛い体験」を考え、選ぶのかと気を揉んでいたところ、熟慮の末に彼のチョイスした苦行とは何と「包茎手術」
…けっ、なーにが苦行だよ、なーにが辛い体験だよ、ただのネタじゃねえかこの野郎。んなもん保険きかねえぞ、チンコに麻酔注射打たれるんだぞ、どうすんだよ、え?おらおらおら!
……と、一瞬思ったのですが、よくよく調べてみると、包茎手術ってのをやると向こう一ヶ月間はセックスはもちろんオナニーさえも禁止になるそうでして、セックスはともかく、オナニー禁止というのは非常に辛いわけです。
というのもこの鶴岡……じゃなくてT岡くんはですね、三度のメシより自慰が好き、というくらいの右手愛好家として名を知られておりまして、そのティッシュ消費量もハンパでなく、「燃えるゴミの日が週に2回なんて少なすぎる!杉並区はいったい何をやっているんだ!」などと、いっちょまえに行政にケチをつける始末で、そんな男から一ヶ月間もオナニー権を奪うというのは、これはもう地獄のような苦行に他ならず、それに比べりゃ俺の「6日間飲まず食わず」なんてのはまだまだ甘い、そんなのママゴトみたいなもんだよ、ちゃんちゃらおかしいよ、なんて思えてくるわけで辛さも半減、やはり持つべきものはよき後輩だなあ……と、しみじみ思いつつ、さあて今夜はピザでも食うか、と宅配のチラシに手を伸ばす新春の宵でした。


つるかめつるかめ。

 

犬とおばさん

犬とおばさん