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日々の昭和館 (1)  2分で分かる昭和館

今これを読んでいる物好きな方々は、新宿昭和館のことなど当然よくご存知だとは思いますが、何かの間違いでここに迷い込んできてしまった不運な人のため、いちおう簡単な御説明を……。

新宿昭和館は東京・新宿三丁目の寂れた一角にあったヤクザ映画専門の映画館です。来客者の多くは土方、ヤクザ、酔っ払いに宿無し等々、選りすぐりのアウト ロー揃いで、場内で焚き火する奴、ロビーでしょんべんする奴、二階席からダイブする奴、便所で死んでる奴、館内で客引きする売春婦、カツアゲ、ケンカと、 連日トラブルが続出し、上映している映画の内容に負けず劣らずの過激な映画館として (ごくごく一部の人々に) その名を轟かせました。
またそれらのアナーキーな面々を出迎える従業員も、売店の女ボス・米子ちゃんを筆頭に禁治産者一歩手前の曲者どもがガン首を揃え、飲酒勤務は当たり前、モ ギリでメシ食うわタバコ吸うわ、客より先に手を出すわと、ナイスな仕事っぷり炸裂で、たまに来館する一般客を引かせまくっていました。
そんな似たり寄ったりのお客と従業員ではありましたが、孤独な身の上の人が多かったためか、昭和館を「家」のように感じていた人も多く、怒鳴りあい掴み合いを繰り返しながらもそれなりの信頼関係も確実に築かれていました。
しかし、2002年4月に建物の老朽化を理由に閉館となってしまい、永遠につづくかと思われた馬鹿騒ぎの日々にも終止符が打たれ、「家」を失ったお客も従業員もそれっきり全員バラバラになってしまいました。

要約するとこんな感じなのですが、もっと詳しい内情に興味がある方は幻冬舎より拙著「名画座番外地」が出版されているので、そちらを立ち読みでもしてご確 認ください。あなたの人生に役立つようなことはビタ一文書かれてはいませんが、ちょっとした暇つぶしにはもってこいの一冊です。文章スカスカなので3時間 もあれば読めますよ。